目と漢方「東洋医学」の関係性

目は多くの臓器と繋がっている

漢方「東洋医学」の長きに渡る治験では目は多くの臓器と繋がっていることがわかっています。そして目と深く関わっているものに「肝」と「腎」があり、漢方治療の経験から肝と腎が不調だと目の調子も悪くなりやすいことが解っています。逆に肝と腎を漢方にて立て直すことで目の調子も良くなる治験も長きに渡る東洋医学(中医学)の治療の歴史によって解っています。目にとって肝と腎は目のコンディションを保つ栄養や酸素の循環、目の老廃物の排出を担う重要な存在なのです。

生薬

1.東洋医学で見る目と臓器の関係性

目と漢方の関係性を語る上で目と臓器の関係性を知ることは必要不可欠です。なぜなら目は臓器と密接に繋がっており、漢方は臓器に対しアプローチを行うものだからです。

五行説

目と繋がりがある臓器

極論、目は体内のすべての臓器と繋がりがあります。中でも目の活動に必要な「栄養に関わる臓器」や「栄養や酸素を送り届ける血液」に関する臓器は漢方の考えでは重要視されています。具体的な例をあげると血液「心⇄小腸・肝⇄胆・腎⇄膀胱・脾⇄胃」などが表裏関係も含めると深く関わっています。

2.目にとって重要な臓器は肝と腎

中医学(東洋医学)の長きに渡る治療的観点から見ると目と「肝・腎」の深い繋がりは明白に解明されています。そして漢方医学4,000年の歴史の中で体系化され経験的に目に良い処方がいくつも確立されています。

漢方茶

漢方の有効性

目と漢方の関係性や有効性は、体の内側を漢方で改善することで目にも良い効果が得られるということです。上記の通り目は様々な臓器と繋がりがあり、その臓器を立て直してくれるものが漢方薬であり、目と東洋医学の繋がりなのです。そして漢方の長きに渡る治験の中で、とりわけ目と関わり深い臓器が「肝」と「腎」です。「肝腎要」という言葉があるように肝と腎は身体にとっても、目にとってもとても重要な働きをする臓器なのです。


H4:目と肝臓の関係

目にとって肝臓とは栄養素や酸素を運ぶ血液に関わる重要な臓器です。目は脳に付随する末端機関なので酸素不足や栄養素不足になりやすい機関です。そんな目に栄養や酸素の供給、老廃物の運搬を行いコンディションを保つ働きを行なっているのが血液です。

末端組織にも血液をふんだんに巡らせるには状態が良く沢山の量の血液が必要となり、身体中の血液の管理貯蔵を行なっている臓器が肝臓なのです。


H4:目と腎臓の関係 

目にとって腎臓とは、肝臓と同様に血液に関する働きにウエイトがあります。しかし肝臓は血液量を管理するのに対し、腎臓は新たな血液を作り出す臓器なので、質が良く酸素や栄養素の運搬能力が高い血液を作り続けるには腎臓のコンディションが良くないといけません。そして身体中の老廃物を体外へ排出するのも腎臓なので、腎臓が元気だと目の老廃物も溜まりにくく目のトラブルも起こりづらいのです。


3.肝と漢方

血液の根幹である肝に良い漢方処方と一口に言っても処方自体は様々です。その理由は人それぞれによって肝の状態や体の状態が異なるからです。だから漢方には様々な角度(状態)から肝を支えるための処方がいくつも存在しているのです。

肝

肝が弱ってしまう場合 

東洋医学(中医学)的に肝とは血液の貯蔵から循環までを指します。つまり中医学の肝には自律神経の働きも含まれています。肝が弱ってしまう原因には疲労や寝不足、ストレスがあり神経を消耗させることが肝の疲労を招きます。肝が弱ってしまうと自律神経の働きが乱れ脳や内耳、目への血液循環が不足してしまうので様々な不調をきたします。


肝が高ぶってしまう場合 

肝とは文字通り肝臓のことですが、東洋医学(中医学)の考えでは肝臓だけでなく自律神経の働きも肝に含まれています。肝臓は血液を貯蔵する臓器ですが、貯蔵された血液を全身に巡らせるのは自律神経が働いているからです。肝が高ぶってしまうと良くない理由は消化吸収に関係する膵に影響を与えてしまうからです。

その結果エネルギーや栄養素の吸収力が低下し末端組織である目に栄養が届かなくなり眼精疲労を起こすことがあります。肝の高ぶりの原因はストレスなので生活環境内で過度のストレスを貯めないことが大切です。


腎と漢方

腎すなわち腎臓は血液を生み出し、体液から老廃物を排出する重要な臓器です。目のトラブルの大きな原因が目の老廃物蓄積です。目に老廃物を溜めないことが健康的な目を保つ秘訣であり、腎が弱る(腎虚)を改善することが大切です。

腎

腎虚「腎陰虚」

腎の働きの内、腎陰とは東洋医学的に説明すると「身体を潤わせ(血液)、栄養する」ことを指します。腎虚にはバランスがあり腎陰と腎陽のバランスが整う状態を理想としますが、腎陽に比べて腎陰が不足している状態を「腎陰虚」と言います。腎陰虚になってしまうと、潤いや栄養の巡りが良くない状態なので「目の疲れ/かすみ」などの目のトラブルやのぼせやすいと言った症状が出やすくなってしまいます。


腎虚「腎陽虚」

腎の働きの内、腎陽とは東洋医学的に説明すると「身体を温めたり、機能させたりするエネルギーの大元」であることを指します。この腎陽と腎陰のバランスが腎陰に比べて腎陽が不足している状態を「腎陽虚」と言います。腎陽虚になってしまうとエネルギーが不足している状態なので身体に疲労が蓄積してしまいます。腎陰虚と腎陽虚の総称を腎虚と言いますが、健康の要である腎の不調は目にも影響するので常に良いコンディションを保つ必要があります。

目と漢方の繋がりは東洋医学の治験から読み解くと「肝」と「腎」に深く関わっており、肝と腎を立て直す漢方薬が目の症状で悩む多くの方に当てはまるということです。 目のトラブルでお困りの方は、お気軽にご相談ください。体の内側を見直すことで、健やかな健眼生活が送れることでしょう。