アワビ肉(あわびにく)- 漢方辞典

アワビ肉(あわびにく)

鮑の筋肉部分

アワビ肉の画像

成分の特徴

アワビ肉は、アワビ(Haliotis属)の筋肉部分を指し、脂肪分が少ないわりにタンパク質やビタミン、ミネラル、オメガ3脂肪酸といった栄養素を豊富に含みます。さらにコラーゲンやタウリンも含まれ、滋養強壮に役立つ食材として重宝されてきました。漢方では食事を通じて体を整える「食養生(しょくようじょう)」の考え方があるため、栄養価の高い食品は自然と高く評価されてきました。

漢方に使われた歴史

中国や日本の伝統医学では、アワビは「目をすっきりさせる(明目)」食べ物として昔から知られています。江戸時代の書物にも「目の働きを助ける」との記述があり、肝臓の熱を冷やすことで視力を改善すると考えられました。アワビの殻(石決明・せっけつめい)も同様に目に良いとされており、肉と殻の両方が目の健康に役立つという共通認識があったようです。

効果効能

アワビにはビタミンA、亜鉛、タウリン、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)、コラーゲンなどが含まれ、これらが眼の機能維持をサポートすると期待されています。タウリンは網膜細胞を保護し、コラーゲンは目の構造を支える働きがあるとされます。伝統的な「目に良い」という評判は、現代の栄養学の視点から見ても、一理あることがわかってきました。

その他特筆事項

殻の部分は「石決明」として漢方生薬に使われる一方、身は食材としてスタミナ補給に役立ちます。夏場の滋養食としても知られますが、一度に大量に食べると消化が追いつかない場合があるため注意が必要です。神さまへのお供え物として使われてきた歴史もあり、日常の食用だけでなく、文化的にも意義のある食材でした。