白菊花(びゃくきっか)
白い菊の花

成分の特徴
白菊花(びゃくきっか)は、白い色の菊のつぼみや花を乾燥させた生薬です。わずかに甘みがあり、ほのかに花独特の香りが漂います。同じ菊の仲間には黄菊花や野菊花などがあり、それぞれ少しずつ作用が異なります。白菊花は体の熱を冷まして落ち着かせる力が強いとされ、とりわけ胎菊花(つぼみの状態で収穫した菊花)は特に高品質とみなされます。中にはキサントンやビタミンAといった成分が含まれていることが分かっています。
漢方に使われた歴史
菊は古代中国の文献にも登場し、長寿をもたらすとして重宝されてきました。日本へは奈良時代ごろに伝わり、平安時代には宮廷でも薬として利用されたといわれています。日本の伝統行事である重陽の節句(ちょうようのせっく)では、長寿を願って菊酒が飲まれていました。白菊花は、目の疲れやかすみ目、めまいなどを軽くする目的で古くから処方されており、治療薬だけでなく健康や長生きの象徴とも考えられていたのです。
効果効能
漢方では、白菊花が「熱を冷まし肝を鎮める」(清肝明目)作用を持つとされ、充血した目や痛みのある目にいいと伝えられてきました。頭痛やめまいといった症状に対しても用いられるほか、伝統的には解熱・抗菌・利尿などの働きも示唆されています。現代の研究でも、疲れ目や特定の眼病に役立つ可能性が示されています。
その他特筆事項
白菊花はお茶として飲まれるほか、食用花として活用されることもあります。昔は、菊の香りで頭痛をやわらげるために枕に詰められることもあったようです。また、クコの実(枸杞子)などと組み合わせて処方されることが多く、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)などがよく知られています。ただし、冷えやすい体質の方や下痢気味の方には合わない場合があるため注意が必要です。