羊肝(ようかん)
ヒツジの肝臓

成分の特徴
羊肝は、ヒツジの肝臓です。甘い味わいがあり、体を熱くする性質(熱性)をもつと考えられています。肝臓ですので鉄分やビタミンAなどが多く含まれ、栄養豊富です。漢方では「体を温める食品」として位置づけられ、冷えを伴う不調に使われることが多いとされます。
漢方に使われた歴史
羊肝は古くから、体を温め、エネルギー不足(気虚・ききょ)を補う目的で利用されてきました。冷えによるお腹の痛みや食欲不振、吐き気、腰やひざの力が抜けるような症状、さらには産後や月経トラブルの回復にも使われてきたと伝えられています。こうした幅広い応用は、「温性」の食品が不足状態を補うとする漢方の考え方を反映しており、特に身体の冷えと疲労を緩和するのに重宝されてきました。
効果効能
羊肝には、体を内側から温めて血行を促す働きが期待されます。気力不足や疲れやすい人には補気(ほき)作用があるともされ、鉄分が豊富な点から貧血対策にもよいと考えられてきました。実際、鉄分不足が原因の貧血は西洋医学でも広く知られており、肝臓を食べることが有効な手段の一つとされています。
その他特筆事項
臭みを緩和しつつ温め効果を高めるために、ニンニクやコショウ、ローズマリーと一緒に料理されることが多いようです。特に寒い季節の食事としておすすめされることがあります。こうしたスパイスと組み合わせるのは、漢方や薬膳料理の「温める力をより増す」という考え方にも通じています。