沙苑子(さえんし)
ツルレンゲ

成分の特徴
沙苑子(さえんし)は、マメ科のツルレンゲ(Astragalus complanatus)の種子です。甘くて体を温める(温)性質があるとされ、「白蒺藜(はくしつりょう)」や「潼疾藜(どうしつりょう)」という別名でも呼ばれます。漢方では肝臓と腎臓の機能を高め(補肝腎)、視力をサポート(明目)し、生命力を養う効果があると考えられています。
漢方に使われた歴史
沙苑子は古代中国の薬書『本草経疏』などに名前がみられ、腰やひざをしっかりさせる、あるいは排尿をコントロールするために古くから使われてきました。具体的には、インポテンツや早漏、頻尿、女性の帯下(おりもの)など、腎と肝の働きに関連する症状への処方が多かったようです。
効果効能
腎臓を養って陽気を高める(補腎助陽)、精(せい)をしっかり保ち排尿を抑える(固精縮尿)、肝をいたわって視力を強める(養肝明目)といった働きで知られています。現代では、活力をアップさせるサプリメントや目の健康を保つ目的で利用されることも多く、古くから伝わる知恵を現代の生活で活かしている例といえます。
その他特筆事項
沙苑子は、他の生薬と組み合わせることで、より効果を発揮すると考えられ、たとえば「金鎖固精丸(きんさこていがん)」といった処方の一部に含まれます。煎じて服用するほか、乾燥した種子を粉末状にして活用する場合もあります。また、家畜の被毛や皮膚の状態を改善する働きがあるかもしれないとの報告もあり、動物の健康面でも応用の可能性が示唆されています。