鶏血藤(けいけっとう)
ミツバアケビ

成分の特徴
鶏血藤は、マメ科(Fabaceae)のミツバアケビ(Spatholobus suberectus)のつるを乾燥させたものです。切ると赤い樹液が出るため、「鶏の血に似たつる」という意味の名前がつきました。味はやや苦く、それに少し甘さが加わる(苦・微甘)とされ、性質は温かい(温)と考えられています。
漢方に使われた歴史
鶏血藤は、中国では月経不順やリウマチ、手足のしびれなどを和らげるために使われる薬として長い歴史があります。日本に紹介されたのは比較的最近で、古くからの漢方処方にはあまり含まれない場合も多いようです。しかし、血行を促進する働きが注目されるようになり、徐々に利用の幅が広がってきました。
効果効能
伝統的には、血の巡りを良くして不足しがちな血液を補う(活血補血)、筋肉のこわばりをほぐして経路(経絡)を通りやすくする(舒筋通絡)といわれ、月経トラブルや貧血、リウマチによる痛みやしびれなどに処方されてきました。現代の研究では、血流改善や血圧を下げる可能性、造血作用(血液細胞の産生を助ける)にまで言及されるなど、広い範囲での働きが探られています。
その他特筆事項
鶏血藤は、適量を守れば大きな副作用が少ないとされ、単独でも使われますし、ほかの生薬と組み合わせて効果を高めることもできます。女性向けの健康茶やサプリメントなどに配合されるケースも見られ、現代の健康志向にあった用途が広がっているようです。一方で、中国の一部地域では同じ名前で違う植物(Millettia属)を使っている場合があり、産地や種類によっては成分が異なる可能性もあるため、品質管理が重要といえます。