カシス(かしす)
クロスグリの果実

成分の特徴
カシスは、スグリ科(Grossulariaceae)のRibes nigrumという植物の果実で、酸味と甘味があることで知られています。アントシアニン(特にデルフィニジンやシアニジン配糖体)が豊富で、ビタミンCや各種ミネラル、食物繊維も含まれます。この高いアントシアニン含有量が、目の疲れをやわらげたり、抗酸化作用をもたらすと注目されています。
漢方に使われた歴史
カシスは、実は伝統的な漢方薬ではありません。東洋医学の古典書にカシスの利用が記されているわけではなく、目の健康や抗酸化といった現代的な観点から、比較的最近になって日本や中国などでも健康食品やサプリメントとして取り入れられるようになりました。こうした新しい食材が漢方や薬膳の概念に加わっているのは、栄養学や国際的な情報交換が進む中で、多様な食材を柔軟に活用しようという流れがあるためです。
効果効能
カシスに含まれるアントシアニンは、目の疲れの軽減や視力サポートに有効と考えられ、緑内障や近視などに対しても役立つ可能性が示唆されています。抗酸化作用が強いことから、エイジングケアや血行促進、疲労回復など、幅広い面でのメリットが期待されています。さらに、一部の研究では認知機能の改善や抗菌・抗ウイルスの効果なども示唆され、今後の研究で一段と解明されるでしょう。
その他特筆事項
サプリメントでは、同じく目に良いとされるルテインと一緒に配合されることが多いです。産地によって風味や成分量が変わり、特に中国東北部の長白山(ちょうはくさん)周辺で採れる野生のカシスは珍重されるともいわれます。ジュースや冷凍フルーツ、乾燥パウダーなど、いろいろな形で取り入れやすいのが魅力です。伝統的な漢方薬としての歴史はないものの、カシスは目の健康や抗酸化というキーワードを通じて現代のウェルネスシーンで広く受け入れられています。漢方の「明目(めいもく)」の概念とも重なり、今後さらに取り入れられていく可能性があります。