金銀花(きんぎんか)- 漢方辞典

金銀花(きんぎんか)

スイカズラのつぼみ

金銀花の画像

成分の特徴

金銀花はスイカズラ科(Caprifoliaceae)のスイカズラ(Lonicera japonica)のつぼみを乾燥させた生薬です。味は甘く、性質は体を冷ます(寒)力があるとされます。花びらの色が白から黄色に変わることが、その名の由来です。主な成分にはフラボノイド(ルテオリン、ロニセリン)やクロロゲン酸が含まれ、抗菌・抗炎症作用が注目されています。

漢方に使われた歴史

金銀花は中国で古くから「熱を冷まし、体内の毒素を解消する(清熱解毒)」生薬として用いられてきました。『名医別録』には茎葉に当たる「忍冬(にんどう)」が登場し、『本草綱目』では花を「金銀花」と呼んで記載しています。喉の痛みや皮膚の化膿、赤痢など、熱がこもって炎症を起こす症状に処方されるケースが多かったようです。日本でも古くから知られ、金銀花をお酒に漬けた「忍冬酒(にんどうしゅ)」を薬用酒として利用した歴史が残っています。

効果効能

漢方で重視される「清熱解毒(せいねつげどく)」の作用があり、体にこもった熱や毒素を取り去るとされます。また、風邪の初期によくある「風熱タイプ」(のどの腫れ・発熱・黄色い痰など)にも有用と考えられ、抗菌、抗ウイルス、抗炎症効果をもつ可能性が現代の研究でも示唆されています。下痢を抑える(止痢)作用なども期待されており、これらの特性から皮膚トラブルや腫れもの、発熱に伴う症状など幅広く対応できる生薬として扱われてきました。

その他特筆事項

「銀翹散(ぎんぎょうさん)」という風熱タイプの風邪薬や、「五味消毒飲(ごみしょうどくいん)」のように皮膚感染症に対応する漢方処方で重要な役割を果たします。日本名の「スイカズラ」は、花の根元に甘い蜜があり、子どもが吸って味わえることに由来します。お茶として飲む方法も一般的で、初期の風邪やのどの痛みを感じるときに重宝されてきました。